フラワーロスとは
ーー成人式、結婚式、お葬式……。
私たちの「人間らしさ」を象徴する文化には、このような「通過儀礼」があります。
成長過程を祝い、次なる段階の意味づけをしていくのです。
そして、その式を華やかにするアイテムとして重宝されてきたのが「花」でした。
花は、人が集う場所に「彩」をプラスさせてくれます。
しかしながら昨今、新型コロナウイルスの感染拡大の影響から、イベントが中止や縮小に。
その影響で、誰の目にも触れられずに花が捨てられる「フラワーロス」が問題になっています。
花きの国内消費はコロナ前までは、法人が28%を占めておりましたが、(※1)現在はほぼゼロに。
需要バランスの崩壊が起き、花業界は厳しい状況になってきています。
今回は、フラワーロス問題の実情と、解決のためにみんなで出来ることを考えていきます。この機会にぜひ、フラワーロスを身近な問題として捉えてくれたら幸いです。
(※1)引用:農林水産省「花きの現状について」
フラワーロスの経済損失
フラワーロスはコロナ禍で明るみになっただけで、業界の構造から根深い問題になっていました。花業界は「プロダクトアウト型」という生産者の生産量や種類を起点とし、消費者に届ける流れになっています。
この流れは消費者の供給が分からないため、花を買い取った小売業者が過剰入荷してしまう問題点があります。
また、「花はナマモノ」と言われるため、花屋さんでは時期がずれた花を廃棄するしかありません。
こうしたことから、仕入れた量の30〜40%は廃棄されると言われています。
フラワーロスによる経済損失は年間「1,500億円」にものぼるとも言われています。
また、花の需要は経済や景気、流行にも左右されます。
花の市場規模は約1.1兆円とも言われていますが、毎年70億円ほど減少しているのが現状です。これには、花を贈ったり飾ったりする文化の低迷が関係していることも考えられます。
参考:https://www.maff.go.jp/j/seisan/kaki/flower/pdf/1912_meguzi_all.pdf
それでも、お花がたくさん使われるイベントである「結婚式」は、比較的安定した花の需要が見込まれていました。
しかしながらコロナ禍により、結婚式は2020年3月から9月の約半年で、約17万組が延期、中止したと言われています。
参考:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200802/k10012546941000.html
さらにこの時期は「入学式」「母の日」「お彼岸」など花が必要な時期もありましたが、店舗休業・イベント中止により花の流通停止を余儀なくされたようです。
実際に2019年と2020年の流通金額を比較してみると、約43.8%減少していることが分かります。
フラワーロス解決のために
自粛期間がまだ長引くと予想される今、花業界を衰退させないために、フラワーロス解決のために、私たちは何ができるのでしょうか。
私たちができることとしては、プレゼントとしてたまには花を贈ってみる、自宅に飾ってみる、フラワーアレンジメントに挑戦してみるなど、花を楽しむ機会を作っていくことが大切かもしれません。
日常に花を楽しむ習慣を取り入れることをぜひ考えてみてほしいです。
フラワーライフ振興協議会がやっていること
スマイルフラワープロジェクトは2020年に発足ました。「日本の廃棄される運命にある花を少しでも救いたい」と、さまざまな取り組みを行なっています。
ひとつは廃棄される予定であった花の買い取りです。協議会では、行き場を失った花を生産農家から買い取り、公共施設や日本の歴史的建造物でイベントを行なってきました。
11月には奈良県の世界遺産 興福寺で、展示法要を実施致しました。日本一の菊産地である奈良県平群(へぐり)の農家さんが育てた小菊を中心に、2万本の花を買い上げ、献花奉納を行いました。
その他にも、多数のイベントを開催し、より多くの人に花を飾るきっかけと花の魅力をお伝えしております。
また、クラウドファウンディングを実施いたしました。
ご支援くださった皆様、本当にありがとうございました。
https://camp-fire.jp/projects/view/359989
東日本大震災の被災地として、復興に向けて活動を続ける茨城県潮来市のお寺、潮音寺。震災から10年の節目となる2021年3月11日、コロナ禍によるフラワーロスを救いたいとの願いを込めて「花あかり」というイベントを開催予定です。
少しでも多くの花が、多くの人たちの笑顔と結びつけられるように。
フラワーロスについて、皆さんが考え、花を買うという選択肢で花市場を活性化できるようこれからも奮闘してまいります。