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サステナブル・ブランド国際会議2021
パネルディスカッション
「花き産業の持続可能性について考える」

イベントレポート

2021年2月24日〜25日、パシフィコ横浜にて「第5回サステナブル・ブランド国際会議2021横浜(以下、SB会議)」が開催されました。

SB会議は、 2006年に米国で生まれた「サステナビリティ(持続可能性)とブランディングの統合」をテーマとするメディア&コミュニティ活動です。年に1回米国で開催される会議をスタートに、世界11カ国12都市に展開してきました。

年間のサステナブルなブランドアクションや成果を報告し、これからをリードする新しい企業のあり方と「サステナビリティ(持続可能性)」を継続的に討議するコミュニティの構築を目指しています。

今年のSB会議は、さまざまな業界・専門家の延べ250人以上のスピーカーが参加。
フラワーライフ振興協議会も、「花き産業の持続可能性〜フラワーにおけるニューノーマル」をテーマにフラワー振興協議会・会長 松村吉章がセッションに登壇しました。

同セッションには、La torche, Inc. CEO/一般社団法人・秋間 早苗氏、株式会社東急エージェンシー・大泉 共弘氏と共にお話されました。

今回は、セッションの様子をトーク形式でお伝えいたします。

社会現象にまで発展したフラワーロス。
解決策の糸口とは?

—司会:本日はよろしくお願いいたします。まずはそれぞれの花の活動についてお話をお願いします。

松村吉章(以下、松村):昨年はコロナウイルス感染拡大の影響により、入学式、卒業式、結婚式などのキャンセルが相次ぎ、花の需要が縮小してしまいました。
経済損失は、1,500億にのぼると言われております。

我々フラワーライフ振興協議会は、花市場さん、花の生産者さん、全国の有志の方に協力いただき、フラワーロスに向けて課題解決しようと発足致しました。
農林水産省から補助をいただきながら、全国各地で花のイベントをさせていただいております。

花は人を笑顔にさせてくれるので、この厳しい状況下こそ必要なアイテムであると考えております。おうち時間が多くなった今、家庭消費も増えておりますので、これからも需要拡大をテーマに邁進していく予定です。

司会:次に、秋間さんの活動についてご紹介をお願いいたします。

秋間 早苗(以下、秋間):人間の理解を深め、新しい時代の「真のエンパワーメント」を目指す事業開発エージェンシーの会社を営んでおります。
私自身は、東京大学農学部在籍から今まで「持続可能性(サステナブル)」について勉強していきました。

持続可能性という単語はマジックワードです。
人と会社、組織を繋げることができますが、この単語は曖昧で説明できる度合いが人によってバラバラなんです。

私は、学生時代に貧困、環境、色々なものの問題を取り扱い、「このままでは地球は厳しい」とはっきり感じました。
この感覚は、大小あれど抱く人が多いかと思います。

この問題に向き合うには、ビジネスが鍵となっています。
ストーリーの発見とイシューを的確に押さえていけば解決策が見えるはずなんです。
「ないもの探し」ではなく「あるもの探し」に展開することが非常に大切だと考えています。

もう一つ、花には語り尽くせない価値があります。
花のポテンシャルや伸びしろはまだまだありますので、物の見方を変えていく姿勢から取り組んでおります。

司会:花には未だ言語化されていない魅力がある。可能性を感じますね。
お次に、大泉さんの自己紹介をお願いします。

大泉 共弘(以下、大泉):普段は広告代理店でクリエイティブディレクター、CXデザイナーとして企業と消費者のコミュニケーションを考えています。

私は昨年、花のブランドを立ち上げました。
花のあらゆる可能性やストーリーに魅力を感じ、花の視点を変えて需要を作っています。

絶えず大切にしていることは、「ビジネス価値のあるオリジナルストーリーをつくること」です。

花はコミュニケーション手段であり、デザインし甲斐のあるものです。
プロダクトを考える「ロジック」と思いを込める「エモーション」を掛け合わせることができます。

花は、贈り手側の思いがあると、エモーショナルな瞬間がより広がります。
生活者の眠っているインサイトを探していくことで、花の可能性を持続可能性で貢献できるのではないのかと考えています。

司会:それでは、松村さんから「花の可能性」に挑戦しているお二人へ、伺ってみたいことがあればご質問をお願い致します。

松村氏:ありがとうございます。
花き産業の持続可能性について、どのように考えていらっしゃるのかについて、お二人にご意見を伺いたいです。

 

秋間氏:私は、「持続できる可能性はなにか?」を考えることはすなわち、「価値を生み出す問いになる」と解釈しています。

花はどうやって育てられるのか、その作り手の思いは何か、どのように私たちの手元に届くのか。そして花屋さんは何を考えて、売っているのか。

私たちは、花についてあまりに無自覚なままで、知らないことが多い事実に気づきます。

このような事実含め、「思い≒ストーリー」が一般に知られていないことは、ある意味「これから必要なバリュー」として捉えることができるのではないでしょうか?

花の向こうに、花き業界で働いている人のストーリーがあるのです。
ストーリーをつくり生活者へ発見を届けることで、花を知るきっかけを創出することができる。
それが花き業界の持続可能にとって重要なことになるでしょう。

 

大泉氏:まず未来を考える前に立ち止まり、私たちは今どこにいるのかを理解することが大切です。
分かりやすいように、花き業界における価値提供を3つのフェーズに分けてみましょう。

フェーズ1は従来の花の楽しみ方を指しています。
フェーズ2は新しい花ビジネスをデザインしている段階。サブスクなどの流通の見直しと新しい需要(価値/意味)を見出すことでした。

フェーズ3は、まだ見えない明るい可能性を指しています。
経済の回復と緑の回復(グリーンリカバリー)。

現在の花き業界はフェーズ2からフェーズ3の移行タイミングであると捉えています。
未来を見据えて、自分ごと化をして花の未来を考えて欲しいですね。

松村氏:消費者の隠されたニーズ(sleeping insight)を花き業界外の方々と探せたら新たな可能性が見えていきそうです。
その視点で、お二人からみて花き業界の足りないところがありましたら、ぜひお話いただきたいです。

 

秋間氏:花き業界以外の企業とのパートナーシップが必要だと感じています。
SDGsのウェディングケーキを聞いたことがありますか?

17の項目ではなくて、円のようにつながり合っている感覚を身につけていただきたいです。
パートナーシップをこれまでの延長線上のものと捉えてしまうと、ないもの探ししかできません。
「こんなチャンスがある、できることがある」とあるものや可能性に視点を向け柔軟に変化し、協力していく必要性があると感じています。

 

大泉氏:もっと右脳(エモーショナル)と左脳(ロジック)を行き来することが必要だと考えています。
これから花の需要を増やすということは、新しい瞬間を提案すると同義です花のあるシーンを創出することが鍵になるのではと考えます。

誰もが持っている花の価値を絶えず考え、世の中に対して「どうでしょう」と提案していくアクションがこれから求められていくのではないでしょうか。

 

松村氏:私もお二人のお話をお伺いし、ツーリズムや代理店等さまざまな業界の協力が必須だと感じました。
また当然ですけど、花のサプライチェーンマネジメントに止まらず、花の命や花の価値観を真剣に考えていくことが大事になります。

これからも植物の多様性、同じ地球にいる生物として花と会話していきたいと思っています。

—ありがとうございました。

最後に

フラワーライフ振興協議会は、コロナ禍によって生じたフラワーロス(花の廃棄問題)を解決するために、花卉の流通を促し需要を喚起することで持続可能な生産者支援につなげ、花による賑わいの回復、そして花文化を広く発信してゆくことで、花の魅力を伝え、花を通じた新たな生活様式(ニューノーマルなフラワーライフ)を創出することを目的とし、活動しています。

※花卉:観賞用の花

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